2005年 08月 21日
映画鑑賞記「ヒトラー~最後の12日間~」
鑑賞日:05.08.20 鑑賞場所:AMCイクスピアリ16
史上最悪の独裁者ヒトラー、最期の12日間を、2年に渡り彼の秘書として行動をともにしてきたユンゲの目を通して描いた作品。人類史上最大の汚点とも言える第二次世界大戦の終焉での、当事者たちの生き様を克明に再現している。
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<ストーリー>
1942年、一人の女性がヒトラーの秘書となる。その名はトラウドゥル・ユンゲ。彼女はヒトラーの執務室でタイプや速記を主に行う。
2年半後の1945年4月20日、場所はベルリン。ヨーロッパ戦線は、連合国の反撃によりドイツ国内にもソ連軍が侵攻しており、首都ベルリンも砲火にさらされていた。
ヒトラーは限られた身内と側近とで首相官邸地下要塞に避難し、そこから指揮を執っていた。しかし、戦況は明らかに不利になり、側近の中には敗戦を口にするものも現れた。ヒムラーもヒトラーに逃亡を進言するほどだった。
しかし、ヒトラーだけは、ドイツ軍の逆転勝利を信じ、躊躇する将軍たちを罵倒するばかりであった。このときすでにヒトラーは精神的に病んでいた可能性がある。
ヒトラー56歳の誕生日に、シュペアー軍需大臣が祝福した場所は、第3帝国の首都をベルリンに構えその都市模型のある部屋だった。そこでヒトラーは、今の戦火でベルリンが焼け野原になれば、そこから都市を再構築できるとの夢を語る。
迫りくるソ連軍に対して、兵士も武器も不足した中、ヒトラーに忠誠を誓った少年少女までもがソ連軍に立ち向かう事態に陥った。また、戦いに参加しない市民は逆にソ連への寝返りを疑われたSS(親衛隊)の手で銃殺や絞首刑に処された。
ベルリン市内の地獄絵のような状況に、地下要塞にいる側近の間にも動揺が走り、逃亡を図ったり士気が下がって酒盛りを始める兵士も出てきた。
そんな中、ヒムラーやゲーリングら重要な側近の寝返りもヒトラーに伝えられた。
ついにヒトラーは敗北を覚悟し、長年の愛人エヴァと質素な結婚式をあげた翌日、二人でピストル自殺を遂げる。遺体は敵の手に渡るのを恐れ側近に跡形も無く焼却させた。
ヒトラーの死後、重要側近らは自殺するが、残ったユンゲらは地下要塞を脱出し、ソ連軍をかいくぐる。
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<感想>
今まで、ヒトラーのことと言えば、ナチスとかホロコースト(ユダヤ人虐殺)ぐらいしか思い浮かばなかった。
テレビなどで、彼の映像を見ていたが、あれは、ナチスが作った宣伝放送であったから、実像に関して言えば謎が多かったわけだ。
この映画の主人公、トラウドゥル・ユンゲは、ヒトラーに非常に近い(エヴァについで)位置で彼の言動や行動、そして周りの人間とのやりとりを肌で感じていたのだ。長い間沈黙を守ってきた彼女が、ドキュメンタリー映画で秘書としてヒトラーを語ったのは2000年過ぎ。長い間、秘書であったことに猜疑心を覚えていたそうだ。
こうして、ユンゲの証言をもとにしてこの映画が作られたわけだが、ヒトラーや側近の言動からにじみ出てくるものは、「一見人間的だけれど恐怖の闇がある」こと。
ローマ帝国に並び称される「ドイツ第3帝国」を建設するために、ありとあらゆる攻撃が正当化される。総統に忠誠を誓えばいつか明るいドイツ国家に住める。
こんな教科書に載っている話を、この映画は我々に呼び起こさせてくれる。
敗戦が決定的になったとき、側近に変化があったが、最前線と医務に当たる将校が最も人間的であったのが印象的。
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ナチスのプロパガンダを担ったゲッベルス夫妻の最後まで狂信的な振る舞いは、この戦争の罪まで感じさせる。6人の幼い子供を毒殺して夫婦でピストル自殺する場面は戦慄が走った。
戦後60年の今年、こうした第二次世界大戦を振り返る映画、それも当事者を克明に描き出しているものを観れたのは意義深い。
まして、作ったのはドイツ監督、それも国家から支援を受けて、なおかつ、決してナチス賛美でもヒトラーを良い人間に祭り上げてもいない。
あくまで、第三者的な描写で歴史を紐解いている。
日本で、このような敗戦前夜の映画が作れるだろうか?
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by dosanko0514 | 2005-08-21 11:25 | 映画は楽しい | Comments(14)
Commented by pahi at 2005-08-21 16:40
ヨーロッパは戦争と略奪の歴史ですからね。国境すら変化し 革命との戦いです。
戦後生まれの私には 戦争は知識でしかありません。
高校生の頃 第三次世界大戦がくるのではと 恐怖にかられたこともあります。憲法9条 今後どうなるのでしょうか。
航空自衛隊で整備をやってる友達 海上自衛隊で船にのっている友達もいます。ごくごく普通の30代の日本人です。偏った知識もなく うんちくも語りません。

今現在 日本は選挙という戦いに立ち向かっています。
明るい未来を 希望します。
Commented by dosanko0514 at 2005-08-21 20:28
ひろみんさん、
日本は、あの大戦で懲りたはずです。
目の前で、銃弾や迫撃砲で人が死んでいくのを直視できるでしょうか?
戦争の悲惨さを肌で感じた人が、また戦争をしようって言えるでしょうか?
戦争をゲームのようなバーチャルな世界だと錯覚している人も多いように見受けられます。
一番の罪は、テレビでの放映が、そういった負の部分を隠していることです。
映画は、かなり踏み込んで映像化しています。 そういった意味で戦争映画は貴重かもしれません。
Commented by borderline-kanu at 2005-08-22 00:25
こんばんは。当事者が客観的に描くのは本当に難しいことですよね。それだけでも評価できるし、歴史をもっと知りたくなる作品でした。 カヌ
Commented by dosanko0514 at 2005-08-22 08:02
カヌさん、おはようございます。
全くそのとおりですね。
ボクも帰ってから、登場人物をサイトで探しました。
ゲッベルス・ファミリー、そっくりでした!
Commented by klavierchan at 2005-08-25 00:05
TBありがとうございます〜。dosankoサンも観てこられたんですね。感想、読ませていただきました。私ではうまく書けなかったんですけど。。。すごく共感できるご意見でした。あの映画を実際に観た人が意外とたくさんいて、予想外に反響の大きいことに感激しています。若い世代も含めて、もっとたくさんの人たちにも観てもらいたいですね。

上のコメントでもすごく同意したんですが、このところの世界のニュースで「××戦争が・・・」と言っているのを聞くと、同時に「もし私の身近な人が戦地に行くになったら」と考えずにはいられません。想像しただけでも鳥肌が立つくらい恐ろしいことなのに、他国では当然のように戦地へ行かなければならない方がいるんですもんね。そう言ったことに思い至らずに、今の小中高校生達がバーチャルの戦争ゲームで興奮しているのを思うと、すごく怖いです。多分実際に人が死ぬ時の苦しみや痛みも、ゲームの中で起こっているのと同じ程度のことなんだろう、なんて思っているんでしょうね。
Commented by dosanko0514 at 2005-08-25 07:26
klavierさん、おはようございます。
上映する映画館が少ないのに、連日大盛況だそうです。
ここにも、映画業界の矛盾が垣間見れますが・・・おっと、本題に(笑)
戦争は人間がやるものです。
市民や兵士など、全くモノ同然で考える人間がいたからこそ、あのような悲惨な大戦を引き起こしたものです。
ヒトラーの言動からもそれが映し出されましたね。
klavierさんの言われるとおり、暴力的なテレビゲームが多く出ています。倒す相手もリアルに近いと錯覚を起こす可能性もありますね。
特に中高生に観てもらいたい作品です。
Commented by RIN at 2005-08-25 16:29 x
こんにちは、またTBさせていただきます。
日本もどこも、最前線にいる人間以外は、戦争に「実感」
があるのかな?と疑問です。
日本の敗戦を描いた「日本のいちばん長い日」みなきゃな、
と思っています。
Commented by dosanko0514 at 2005-08-25 21:49
RINさん、こんばんは。
戦後60年ですから、戦争を記憶として持っている人は70歳を超えていますね。
「戦争を二度とやってはいけない」と、敗戦の時、誰もが思ったはずです。
それなのに、日本の国防予算は相変わらず世界でも屈指のレベルです。
これも変な話です。
Commented by pahi at 2005-08-25 22:30
宮城県でも やらかした中学生いましたね、警察官刺して何考えてんだ?リアルとシュミレーションの区別がつかなくなってるのでしょうね。

自衛隊の知り合い 何人かいますが、皆 自衛隊に本心から入っていません。入隊して リストラもない職場でそこそこのお給料がもらえるから気楽そうです。何の役に立ってることやら。

株主優待で VDVがもらえるというので ギャガの株を買ったのですが(5万円位で買えます)この作品を DVDでもらうのは あまりにもイタイので映画館で見ました。。。何度も見ていられません。怖いです。
ちなみに 今年の優待では 「オペラ座の怪人」と「君によむ物語」にしようと思ってます。
ギャガの配給作品は 自分のツボに入ってる作品が多すぎで 2タイトルを選ぶのも 悩んじゃいます。「シャルウィ~ダンス?」もなんですよねぇ。株主優待では 試写会もあるのですが 今回「私の頭の中の消しゴム」から 仙台でもやるようになったのでうれしいっす!
Commented by dosanko0514 at 2005-08-25 22:57
ひろみんさん、こんばんは。
警官を刺した中学生、ここまでやるとは驚きました。
拳銃を奪う目的で相手が死んだとしても構わないという心理は、ヒトラーとどこか似ていますね。
それにしても、中学生の親は、異常に気づかないほど無関心だったのでしょうか?甘やかしているのは否めません。

DVDの優待、いいですねぇ。 
ギャガは、本当に良い作品が多いのですよね。
Commented by pahi at 2005-08-26 20:38
この少年に限らず 現実と漫画・ゲームの区別がつかなくなってる人が増えてるのでしょうね。今後も この様な事件は増えることはあっても減る事はないでしょう。
パチンコに夢中で子供が車の中で熱中症で死んじゃう事件も 後を絶たないのだから 親だからといって 皆が皆 まともな精神じゃあ ないのでしょうね。

ギャガは おいしすぎです。皇帝ペンギンもです!
ああ 2タイトルしか選べないだなんて!

ていうか 自分で買えよVDVくらい(笑)
Commented by dosanko0514 at 2005-08-26 23:00
ひろみんさん、
全て社会のせいにしたくもありますが、やはり親の責任は重いと思います。
子供のことを考えたら、けっして放置はしないと思います。
場合によっては、子供を傷つけてでも間違ったことは止めさせる覚悟が必要なんです。
親になったら、自分のしたいことの半分はあきらめるくらいでないと勤まりません。
Commented by mark_darcy at 2005-09-05 19:54
TBありがとうございます。
ブルーノ・ガンツの演技は素晴らしかったです。
一人でも多くの人に観てもらいたい作品です。
Commented by dosanko0514 at 2005-09-05 20:44
マーク・ダーシーさん、こんばんは。
>ブルーノ・ガンツの演技は素晴らしかったです。
本当にそうですね。
ヒトラーのくせ、ちょっと誇張しすぎかも知れませんが、二面性を持った人間を巧みに演じていたと思いました。
この作品、下手な歴史教科書を読むより説得力があります。


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