鑑賞日:06.02.10 鑑賞場所:AMCイクスピアリ16
1994年に、人口の1割、100万人弱の国民が虐殺された国があることを知っている人がいるだろうか?
アフリカ中央に位置する小さな国「ルワンダ」。
その内戦の最中、一人のホテル支配人が、虐殺から逃れてきた避難民1200人を勇気と機転で救った実話。
2004年の公開以来、世界中に衝撃を与えた作品。昨年のアカデミー賞主要3部門にもノミネートされたが、なぜ日本の配給元はすぐにも買わなかったのだろうか?
大々的な宣伝をし、マッチポンプ的な前評判を作り出して、いざ日本公開ではさっぱりなハリウッド大作を尻目に、映画が好きな有志が署名活動までして、やっとこ公開にこぎつけ、公開以来満員が続き上映する映画館が増え続けているこの傑作を見出せなかった、日本配給会社の選ぶ目を疑ってしまった。
是非、感動の余韻を味わってもらいたい。そして、中高生に観てもらいたい作品でもある。近代アフリカの歴史を知る上で最良の教材になるであろう。
<ストーリー>(
公式HPから抜粋・・・なぞると良く読めます)
1994年、ルワンダの首都キガリ。ベルギー系の高級ホテル、ミル・コリンで働くポール(ドン・チードル)は有能な支配人だった。
ビジネスは良好だったが、ポールは不穏な空気を感じていた。多数派のフツ族と少数派のツチ族が長年争ってきたルワンダでは、3年間続いた内戦がようやく終息し、和平協定が結ばれようとしていた。しかし、フツ族の民兵グループが市内を威圧的に練り歩き、ラジオでも公然とツチ族非難が繰り広げられていた。フツ族ではあるが穏健派のポールは民兵たちのやり方を嫌悪していたが、それを表に出すわけにはいかなかった。なぜならポールの妻(ソフィー・オコネドー)はツチ族だからだ。
ある晩、ホテルから帰ろうとしたポールは、市内で火の手が上がっているのを見る。家に着くと、妻と子供、そして命からがら逃げてきた知人たちが暗闇の中に身を潜めていた。「フツ族大統領がツチ族に殺された」というラジオの放送にポールは耳を疑う。フツ族大統領がツチ族と和平協定に応じたのにそんなことはあり得ない。しかし、大統領が何者かに殺されたのは事実だった。そして町中では、ラジオの報道を鵜呑みにしたフツ族が、武器を手にツチ族を襲撃しはじめていた───。
翌朝、ポールの家に兵士がやってきて、彼が前に働いていたホテルを暫定内閣の基地にするのでホテルの鍵を開けろと命令する。家に隠れていた人々は見つかり殺されそうになるが、ポールが渡した多額の賄賂でなんとかその場は切り抜けられた。行き場のない家族と隣人たちを連れ、しかたなくポールはミル・コリンに向かう。
カメラマンのダグリッシュ(ホアキン・フェニックス)は狂乱と化した街で精力的に取材を続けていた。彼の撮ってきた映像を観てショックを受けるものの、これが世界で放映されれば国際救助が来ると確信するポール。しかしダグリッシュの答えは違った。「世界の人々はあの映像を見て──“怖いね”と言うだけでディナーを続ける。」ダグリッシュは国連のオリバー大佐にもカメラを向けるが、大佐は「我々は平和維持軍だ。仲裁はしない」と繰り返すことしかできない。
海外資本であり、国連兵士もガードするミル・コリンには民兵たちもうかつには手が出せず、ホテルは難民キャンプのような様相を見せ始めていた。困惑するポールに、オリバー大佐はヨーロッパ諸国が介入の準備を進めており、数日でルワンダに到着すると話す。
数日後、ポールたちの元に待ちに待ったベルギーの国連軍が到着した。しかし、それはルワンダ人を助けるためではなく、犠牲者の出ている国連兵士や職員、そしてルワンダにいる外国人を退去させるためのものだった。それは、世界がルワンダに背を向けたことを意味していた…。
ポールは、避難民たちを守るために、あらゆる手を尽くしていた。ミル・コリンの親会社の社長に電話し、フランスに連絡して政府軍を止めてほしいと頼み、避難民たちには海外の要人にコンタクトを取るようにと指示を出す。しかし、危険はすぐそばまで忍び寄ってきていた。民兵グループのリーダーと会ったポールは「ホテルに近寄るなとビジムング将軍に言われているが、もうすぐ俺たちが仕切るようになる。ホテルにいる重要な裏切り者を渡せば、身内は救ってやってもいい」と言われ、絶望的な気持ちになる。
そしていつしか、ホテルの難民は1268人に膨れ上がっていた……。
<感想>
この映画が「シンドラーのリスト」ルワンダ版と言われているというのもうなずけるが、それ以上に主人公が緊迫した修羅場をくぐってきたことが判る。
今は「族」という言葉を使うことは差別につながるというのだが、映画の性格上、使用せずにいられない。
ルワンダという国、人口の90%近くを占めるフツ族と、ドイツとベルギー統治領だった時から政治の主導権を握っていたツチ族、その後1970年代にクーデターにより実権を持ったフツ族によるツチ族への報復、そして内戦へ。
実は、フツ族にも穏健派と強硬派があって、1994年の虐殺は、強硬派による計画的なツチ族と穏健派フツ族への民族浄化(ホロコーストのようなもの)であったと言う。
映画の中でも、ナタでツチ族の女性をメッタ切りにする映像が映し出されているし、霧の中でクルマから出たポールがつまずいたその下に血まみれの虐殺死体が多数横たわっているのは、ショッキングだった。
それにしても、欧米各国は、このような虐殺があっても仲裁するわけでなく、自国民の避難にだけ一生懸命になるのは、自分の利益だけ考える人の多いこの世の先進国の常なのだろう。
それにしても、この事実をよく映画化できたと思うし、現在のルワンダが撮影に全面的に協力して歴史を見つめ直すことをやったことに賛辞を送りたい。
主演のドン・チードル。最近の作品では「オーシャンズ12」、ちょっと前では「トラフィック」で存在感のある演技をしていたが、この作品でも、アメリカ人なのにアフリカなまり(?)の英語を話し、気の優しくて勇気あふれるポール・ルセサバギナを演じていた。
それと、売れっ子俳優ホアキン・フェニックスの心優しいカメラマン役にも拍手。
あと、クレジットにはなかったし、HPにもキャストで掲載されていないフランスの大物俳優が、フランスの飛行機会社の重役を演じている。
1日でミュンヘンとホテル・ルワンダの実話映画を観たが、さすがに目が疲れて頭痛がひどくなったが、平和っていったいどこにあるんだ? と思う良い機会になった。