2006年 06月 04日
鑑賞日:06.06.04 鑑賞場所:シネマ・イクスピアリ16 「シティ・オブ・ゴッド」でアカデミー監督賞にノミネートされたブラジル人監督フェルナンド・メイレレスの作品。 アフリカ・ケニアを舞台に、正義感の強い慈善活動家である妻の突然の死から、平穏な生活を投げ打って、妻の死の真実を探しに大きな影に挑んだ夫の悲しく切ない社会派映画。 <ストーリー> (なぞるとよく読めます) 英国外務省一等書記官のジャスティン(レイフ・ファインズ)は、ナイロビの空港からロキに向かう妻テッサ(レイチェル・ワイズ)を見送った。 それから数日後、ジャスティンに妻がトゥルカナ湖畔に殺害されたという報せが友人であり高等弁務官事務所長サンディよりもたらされた。 妻とともに旅立った黒人医師アーノルドも行方不明になっていた。 二人はナイロビ近くのスラムでの医療施設改善のために活動していた。 突然の死から、ガーデニングが趣味の穏健で事なかれ主義でもあったジャスティンの周辺にも風穴があいてきた。 テッサは、慈善活動中に大手製薬会社がアフリカの貧しい人々を使って新薬実験をしていることを知り、その新薬に問題があることもイギリスやドイツの活動家とのインターネットを通じた情報交換で把握していたようだ。 彼女が独自の調査レポートを作成し、外務省に密告した後、この悲劇が起きた。 テッサのパソコンや書類を警察に押収され、自分もロンドンに呼び戻され、当局から監視されていると感づいたジャスティンは、テッサのいとこである弁護士ハムに調査を依頼した。その結果、大手製薬会社と外務省アフリカ局長との癒着が判明。 彼は、妻テッサの想いを遂げるため、陰謀渦巻くケニアに密かに舞い戻る。彼を抹殺しようとする大きな組織が追っていることも知ってか知らずか。 <感想> 予告編からは、このようなストーリーは予想がつかなかった。 だから、冒頭からのテッサの死から、どのような展開になるのか、そして、あのような結末が待っているのか想像すらできなかった。 舞台は、映画ではあまり見ることのないアフリカだ。 昼間の刺すような日の光、そこに暮らす人たちの貧しさ。我々の日常とは違う風景にまず戸惑い、心を痛める。 助けてあげたい人、特に子供たちがいるにもかかわらず、その数に圧倒されて、とても一人では無理だとも思う。 この映画のヒロイン、テッサは、自ら進んで貧しいスラムでの医療活動を支援している。その純粋さは見ているものに何らかのメッセージを送っている。 こうした暖かい手を差し伸べることで、彼らの自立と貧しさからの脱却への後押しになるのではないかと・・・。 しかし、映画では、この部分は特に強調しているわけではない、ヨーロッパの大手製薬会社と英国外務省とケニア政府との癒着(これは実際に起こっていることではないらしいが)をテッサの視線から追っている。会社の幹部とケニアのトップ、そして英国外交官は、犯罪なんて起こして居そうもないような顔で社交の場に登場しているが、裏では、アフリカ人の刺客を使い次々と告発者を消していく。 直接手を下していないだけに、さらに恐ろしい。 テッサ役のレイチェル・ワイズ。映画の中で、妊娠して身重の役を演じているが、まさしく過酷な撮影現場での演技が認められて今年のオスカー(助演女優賞)を獲得したのだろう。強い意志を持った女性をよく演じていたと思う。 残念ながら、アカデミー賞ノミネートはされなかったが、監督の前作「シティ・オブ・ゴッド」、ヴァージン・シネマズ・六本木ヒルズのオープン記念に招待されて観たが、3年前の衝撃が未だに脳裏に焼きついている。その映画もまた、日の光が眩しい場所でのものだった。 そして、共通しているのは「貧しさ」。 世界には、人口の1パーセントに満たない大金持ちが世界の富の99パーセントを独占していることをこの映画を観てふと思いついた。
by dosanko0514
| 2006-06-04 21:29
| 映画は楽しい
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