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2007年 02月 04日
映画鑑賞記「それでもボクはやっていない」
鑑賞日:07.02.04 鑑賞場所:シネマ・イクスピアリ

 知りません、ではすまない。
明日裁かれるのはあなたかもしれない。


周防監督11年ぶりの映画、舞台は「裁判」。
こんな司法制度で果たして良いのだろうか?
身近に起こる事件で、本人も家族も一瞬にして法廷の泥沼に落ちてしまう。
最後まで目と耳が離せない。
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<ストーリー> (公式HPより)
 フリーターの金子徹平(加瀬亮)は朝の通勤ラッシュで混雑する電車に乗った。それは先輩に紹介してもらった会社の面接に向かうためだった。乗換えの駅(岸川駅)で降りるとホームで女子中学生から声をかけられた。
「いま痴漢したでしょ」
「え? 痴漢?」
ホームの駅員も騒ぎに気づいてやってきた。離せば分かってもらえる、層思って、駅員に促されるまま駅事務室へと向かった。しかし駅事務室ではなにも聞かれないままに警察官に引き渡されてしまう。会社の面接があるんです、そう警察官に言った。「話は署で聞くから、すぐ終わるから」言われるままにパトカーに乗り込んだ。
しかし、それは長く困難な運命の始まりだった。
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<感想>
 過去に観た映画にも、裁判シーンは幾度と無くあった。最近では、「半落ち」、「ゆれる」がそれに当たる。
しかし、この映画は、裁判をボクらのもっと身近にあると感じさせてくれた。

この映画を観るまで、痴漢で捕まったらどのように拘留され、尋問を受け、裁判になるのか知らなかった。
たとえ、自分の身に覚えの無いことであっても、裁判で勝つにはすごいハードルがあることが分かった。
映画の中で、主人公が警察署内の取調室の中で刑事と供述調書をめぐるやりとりで、まず驚かされる。。
ある時は脅され、ある時は諭され、ある意味刑事の都合の良い調書を作られ、署名を求められる。
検事についても、あくまで有罪に持ち込もうとする姿勢は同じ。
そして、公判にて検事と弁護士との戦いが始まった。
面白かったのは、裁判官によって法廷での雰囲気が違うこと。
多分、周防監督がいろいろな裁判傍聴で感じ取ったのだと思うが、ある意味、裁判官によって違う判決が出ても不思議がないと映画はメッセージを送っていると感じた。
そして、この手の裁判は、周りの人の支援が大切だと思った。
痴漢事件の場合、目撃証言が重要性を増す。
映画の中でも、逮捕された駅でビラ配りをして目撃者を探すシーンがあった。
そして、再現ビデオを作ったりもする。
映画鑑賞記「それでもボクはやっていない」_b0070020_2383834.jpgこれは、お金もさることながら、多くの支援してくれる人がいないとできない。
映画のクライマックス、ここまで苦労して多くの無罪となりうるに足る証拠・証人を法廷に示してきたのに、「主文、被告人を懲役4月に処す」との声で、見事に吹き飛ばされる。
裁判官も公務員だから、無罪を連発することに、後ろめたさもあるのだろうか?
映画の中でもそんなセリフもあったな。

最近、富山県警が婦女暴行の容疑で誤認逮捕し、そのまま裁判でも実刑にしてしまった例がニュースになったが、そのときの取調べ内容がこの映画に酷似していた。

痴漢は、毎日、満員電車で通うボクにとっては他人事の騒ぎではない。
明日から、乗り込む位置にちょっと気をつけて行こう。
警察にはお世話になりたくない。

ストーリー展開も面白い、臨場感もあって、緊張感のある映画になっていた。
主役の加瀬亮も「硫黄島からの手紙」に続き好演しているし、主任弁護人役の役所広司は、さすがに貫禄の演技だった。
恋人役の鈴木蘭々が、とてもなつかしかった。

by dosanko0514 | 2007-02-04 23:09 | 映画は楽しい


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