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2007年 05月 03日
映画鑑賞記「バベル」
鑑賞日:07.05.01 鑑賞場所:シネマイクスピアリ

 バラバラにされた私達が、再びひとつにつながるには、どうすればいいのか?
その答えを秘めた銃弾が今、放たれた。
鬼才・アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が我々に問いかける。
「境界を形成するものは、言語、文化、人種、宗教ではなく、私たちの中にある」
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これから観る人にアドバイス
チエコが渋谷のクラブに行くシーン。 
大音響の上に、フラッシュ点滅が1分以上続く。 ここは凝視しないように!



<ストーリー> 
映画鑑賞記「バベル」_b0070020_1004581.jpgリチャード(ブラッド・ピット)は、妻のスーザン(ケイト・ブランシェット)とモロッコを旅していた。ある哀しい出来事が原因で壊れかけた夫婦の絆を取り戻すため、アメリカからやって来たのだ。まだ幼い息子と娘はメキシコ人の子守(アドリアナ・バラッザ)に託していた。山道を行く観光バスの中で、事件は起こった。どこからか放たれた一発の銃弾が窓ガラスを付きぬけ、スーザンの方を撃ち抜いたのだ。
あたりに病院がない。リチャードはバスを移動させ、スーザンを医者がいる村へと運ぶが、溢れ出る血を止める応急処置がやっとだった。リチャードが救助に来ないアメリカ政府に苛立つ間、徐々に事件は解明され、やがて1人の日本人男性(役所広司)に辿りつく。
一発の銃弾は国境を越えて、孤独な魂を抱える人々をつなぎ合わせていった。
銃を手に入れたモロッコの山羊飼いの少年、銃の所有者である日本人男性、彼の聾唖の娘チエコ(菊地凛子)、そして子守の女がメキシコへと連れていった子供たち(エル・ファニング)。
果たして、生命と魂の危険にさらされた彼らの運命は・・・・?
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<感想>
 冒頭のモロッコ、予告で何度も観た、銃撃のシーン。
いつまでも、あの銃声の響きが心に残っていた。 
なぜ、猟銃が子供の手に渡ったのか?
銃弾に倒れた妻を必死に介抱し、次第に苛立ちを抑えきれずにいる夫。
もっと冷静になれ・・・って無理な話なのだろう?
余計な脚色を捨て、あくまでも、リアルに撮影しようとしているのが伝わってくる。
場面は変わって、東京。
首都高速を走る車の中での手話での親子の会話。 何かもどかしい。
今度は、
アメリカ国境に近いメキシコでの結婚式。 ラテンらしく陽気で濃い(笑)

それぞれに、先行きの危うさをはらんでいた。

映画鑑賞記「バベル」_b0070020_10351472.jpg何と言っても、度肝を抜かれたのは、菊地凛子の迫真の演技だった。
聾唖(ろうあ)の16歳の女子高生を演じていたが、有形無形の差別を受けながら、それに対峙する時、彼女なりの反抗がすごかった。
なぜ、トイレに下着を捨てたのか? 
なぜ、歯医者に迫ったのか? 
なぜ、刑事の前で裸になったのか?
今ひとつ理解に苦しんだが、
おそらく、早く大人になりたかっただろうのか?
あるいは父親へのメッセージだったのだろうか? 

映画鑑賞記「バベル」_b0070020_101369.jpg現代の我々が抱えている普遍的な課題を巧みなストーリーの組み合わせで結晶させた作品だ。
このような手法、最近では、ポール・ハギス監督の「クラッシュ」にも観ることができるし、監督自身の前作「21グラム」にも垣間見ることが出来る。

ラストのシーンが印象的だった。(このマンション、知っているな)

<余談>
・砂漠に置いてきぼりになった少女を演じているのは、あの天才子役、ダコタ・ファニングの妹だった。 やはり、可愛い!
・子守の女を逮捕する警官役、「クラッシュ」、「ワールド・トレード・センター」で好演したマイケル・ペーニャが演じている。 

by dosanko0514 | 2007-05-03 10:18 | 映画は楽しい


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